かねてから興味のあったDHバー(エクステンションバー)をブルベで試してみました。
なぜブルベにDHバー?
600kmで30-40時間、1000km超では70時間以上走り続けるブルベでは、手・腕・体幹に非常に負担がかかります。私は、長いブルベが終わった後は、しばらく握力が戻りません。DHバーによって負荷を分散できればとても魅力的です。
PBP2019よりDHバーが許可されたことを聞き、気になっていました。今回RM424岡山1200km、RM812オホーツク1300kmを走るにあたり、実験してみました。
DHバーの選定
PBPの規定では、エクステンションバーはブレーキレバーより前に出ないこと、となっています。これに合うものを検討した結果、以下を選びました。
手を乗せるところが跳ね上げ式なので、上ハンを握る時に邪魔になりません。バーも2本独立で、細かく位置を調整できます。
取り付け
DHバーを取り付ける場所をあけるため、TREKのBrendrでハンドル周りを整理しました。TREK標準の仕様で、対応するステムにベースを取り付け、上下に一つずつアクセサリーを取り付けることができます。
下部側にはライトを付けます。RN1500は上側が防眩処理されているので、REC-MOUNTの延長アダプターとダブルベースで、上下が逆にならないよう、またエクステンションバーと干渉しないよう取り付けます。
上側には、標準のアタッチメントでGarminを取り付けます。
このアタッチメントでは、Garminの拡張バッテリーが取り付けられません。しかし、Edge830のバッテリー節約モードを使えば300kmブルベでも十分持つ上、スマホ用のモバイルバッテリーで充電が可能なので、拡張バッテリーはそもそもあまり要らないかな?と思います。
取り付けた感じはこのとおりです。ブルベ用に2灯装着可能にしてあります。
エクステンションバーの先端がハンドルにと同じ位置になるよう合わせ、後ろ側をカットします。
ハンドル周りはすっきりと収まりました。
試走の結果シフターがあるととても楽だということがわかり、Di2のシフトスイッチを取り付けました。
これで200kmと1200kmを走ってみました。
ブルベでのDHバーのメリットデメリット
私の感じたメリットを◎、デメリットを▲でまとめます。
◎休めるポジションが一つ増える
これが最大のメリット。アームレストに肘を乗せDHバーを握って、手や腕、体幹を休めて一息つけます。
◎向かい風が楽
前面投影面積が少なくなるので、向かい風は飛躍的に楽です。気分的にも、風に負けずに走れる気がします。
◎巡航スピードを稼げる
平地巡航では確実に巡航速度が2-3km/hあがります。
▲重量が増える
エクステンションバー、アームレスト、取り付け台座、シフトスイッチ合わせて、総重量は実測565gの増加になりました。実際の速度への影響は誤差かと思いますが、SRなど登りの多いコースでは気になる重さではあります。
▲DHポジションは柔軟性が無いと続かない
DHポジションでは膝が胸につくような姿勢でのペダリングになります。私は股関節や大臀筋・肩の柔軟性が低いのでポジションを長く維持できず、DHポジションを数分取っては通常のポジションに戻る、という感じでした。
▲安全にDHバーポジションで走れる場所は多くない
ブレーキから手が離れるので、ブレーキングが必要になる可能性のあるところでは使えません。市街地はもちろん無理、山間部でも下りや見通しの悪い道では使えません。またハンドルがブレやすいので、路面が悪いところも怖いです。
▲自転車をひっくり返した時に自立しない
些細なことですが、タイヤを外すために自転車をひっくり返した時にDHバーが邪魔で自立しません。パンク修理や輪行の際に注意が必要です。
まとめ
私にとっては、肘をついて手や背中を休められることが最大のメリットでした。長い距離をDHポジションで走るというよりも、見通しの良い安全な場所で、ポジションを変えてちょっと一休み、という感じです。これは、本当に助かりました。
一方DHポジションを長く維持することは、体力的にも道路状況的にもなかなか難しいです。もう少し柔軟性を鍛えれば、北海道やPBPのようなコースでは、巡航速度アップや向かい風対処にもっと使いこなせると思います。
RM812の北海道1300kmでもう少し試してみようと思います。