ずっと走ってみたかった、SR600Fujiを完走しました。
2021年現在日本には15のSR600コースがあります。中でもSR600 Fujiは歴史も古く、世界最多の認定を出しています。
碓氷峠、軽井沢、浅間山、草津、渋峠、菅平高原、ビーナスライン、蓼科、麦草峠、野辺山、富士山(富士五湖)と、甲信越の美しい山・名道・温泉・避暑地をめぐる、本格グランフォンドです。
SR600 Fujiコース概要
セクションごとの走行ポイント
高尾〜山伏峠〜安中
高尾駅を0700にスタート。
最初の100kmは獲得標高1569mしかありませんが、信号峠でペースがなかなかあがりません。また夏は時に40度を越える暑いエリアでもあります。6/21の走行でしたがガーミン記録では最高気温34度でした。
PC1山伏峠10.2%、5.3%を問題なくクリア。
途中世界遺産になった富岡製糸工場に寄り道。
碓氷峠〜浅間〜草津
34.3km, 4.3%の、長い二段階の登りが始まります。碓氷峠は12km4.3%の緩やかな上り。カーブごとに番号がふられており、合計184のカーブがあります。
軽井沢で一度平坦になりますが、ロマンチック街道に右折後、平均6-7%に斜度が上がり、鬼押しハイウェイの分岐まで登ります。
渋峠
吾妻川に向けて20km下った後、渋峠まで30.2km,5.8%の上りが始まります。草津近辺で一度少し下ることを除いて基本ずっと上りです。
草津のセブンイレブンを過ぎると渋峠を越えて湯田中に下るまで40km以上補給困難区間です。めったに車も通らず硫黄の匂いの漂う中を上ります。
渋峠を何時に登るかはSR600Fuji攻略の一つのポイント。私は夏本番の走行ということで、登りを日没からにして暑さを避け、夜に下ることにしました。日差しを遮るところがあまりなかったので、夕方の涼しさは非常に助かりました。
一方下りは気温10度、霧。インナーを長袖のFinetrackに替え、アームカバー・レッグカバー、レインウェア上下、指ありの手袋で下りましたが、それでも寒かったです。時期によって最適な選択は違うかと思います。
PC4まで30km下ります。登りも下りも長いのがSR600Fuji。
一泊目:須坂温泉古城荘
猿で有名な湯田中温泉での宿泊も考えたのですが、もう少し走っておきたかったので、須坂のこちらを予約。2230と遅いチェックインにも丁寧に対応頂き、温泉も気持ちよく、ゆっくり休めました。自転車は併設の農産品直売所の室内で預かって頂きました。
菅平
500にリスタート。菅平高原まで17km,6.2%を登ります。平均斜度が高い上にカーブが少なく、気持ちが折れます。途中山の神に参拝。
菅平から信濃国分寺までR144を26km下ります。菅平の気温は15度、下りは結構寒い。国分寺西の交差点には吉野家があり朝8時から営業しています。ここで一息。
上田の市街地の気温は既に26度。水分を補給しながら街を抜けると、最大の難関、美ヶ原高原への登りが始まります。
美ヶ原高原
この33.5km,5.8%のSR600Fuji最大の登りは、2つの区間に分かれています。前半は上田郊外から国道151-県道62を経て武石観光センターまで、4-5%で登ります。県道62に曲がるところのローソンを過ぎると補給もできません。
武石観光センターは貴重な補給ポイント。軽食と売店があります。
後半は林道に入り平均7%で13km登ります。途中は何もありません。眺望も無く風景も変わらず、今回一番きつい区間でしたが、唯一頂上近くの白樺の林が見事でした。
美ヶ原高原着。ビーナスラインに備えて道の駅で補給します。この道の駅は標高が日本で一番高いところにあります。
ビーナスライン
PC7から30km、車山まではアップダウンが連続します。きついですが、周囲に広がる素晴らしい景色で脚が回ります。
車山を過ぎると白樺湖へのダウンヒル。白樺湖のローソン(379km)は本当に貴重です。この手前は60km手前のローソン丸子腰越店、過ぎると麦草峠を越えて50km以上先の南牧村までコンビニはありません。営業時間は700-2200なので注意。
その後もう一度登り、ピークから少し下ると右側がPC8女の神展望台です。八ヶ岳、南アルプスの山々が見渡せ、八ヶ岳の裾野に広がる広大な森が眼下に広がります。
蓼科に向けて下ります。今回は時間が合わなかったのですが、the Switchback TATESHiNA 薪窯料理と山歩きはパスタやピザが美味しくおすすめ。
蓼科〜麦草峠
蓼科の別荘地を抜けメルヘン街道最高地点まで13.8%, 6.2%を登ります。斜度はそこそこありワインディングがきついので、イン側は結構な斜度になります。鹿にたくさん出会いました。
麦草峠の手前に綺麗な公衆トイレがあり、そこでダウンヒルに備えて着込みます。麦草峠は気温10度の雨、下りはかなり寒かった。
麦草峠から松原湖まで20km下り。途中一箇所だけレストハウスがあり、自動販売機とトイレがあります。南牧村まで下ると久々にコンビニがあり一息つけます。
そこから野辺山の鉄道最高地点に向けて一つ峠を越えます。斜度は大したことはありませんが、大きな峠を越えてきた後の登りが精神的に堪えます。
PC10 JR鉄道最高地点 21:10
野辺山を越えると韮崎まで29km、R141を下ります。直線基調で走りやすく時間が稼げる区間ですが、交通量はそこそこあるので注意。
二泊目:韮崎清水屋旅館
二泊目の宿に2320着。自転車を部屋に持ち込むことができ、また大浴場(24時まで)でゆっくりできます。食事付きのプランを予約していたのですが、食事の時間内に到着することができないことをお伝えすると、お弁当にして部屋に届けて頂けました。
韮崎ー芦川ー若彦トンネル
最終日は0530にリスタート。PC11を通過します。
その後芦川沿いに25.7km. 3.7%を登ります。斜度はゆるいですが距離があります。また芦川の手前くらいから河口湖まで30kmほどは補給が難しいエリアです。
富士五湖・道志みち・ゴール
最後の道志みち、高尾のアップダウンをいなしてゴール。所要時間は53:53。
完走のポイント
- SR600紀伊山地や福島と比べ、登りは長くきついですが、下りは走りやすい道路ばかりで、時間的にはうまくバランスすることができました。2泊計13時間半宿に滞在して54時間で完走できたのは、下りのおかげです。
- 酷暑の盆地から標高2000m超まで登りますので、温度差への対応が非常に重要です。私の走った3日間はほぼ曇りでしたが、気温差は平地30度〜峠10度でした。
- ウェアは半袖ジャージ上下、ミレーのドライナミックメッシュ、ジレを基本に、アーム・レッグカバー、長指手袋、レインウェア上下、ファイントラックのドライレイヤーウォーム長袖とドラウトフォースを持って走りました。ミレーのドライナミックメッシュは吸汗速乾性能に加え、少し空気を含んで保温をしてくれるので、温度差があるときは助かります。ファイントラックは軽量で携行しやすく保温性も高いので下りに使いました。
- 補給難区間が意外にあります(草津ー湯田中40km、上田郊外ー白樺湖60km、白樺湖ー南牧村50km、芹川ー河口湖30km)。
- コース上に温泉地や街が点在しており、1泊でも2泊でも宿泊は計算しやすいと思います。
おわりに
SR600Fujiは草津白根の通行規制の影響で長らく閉鎖されていました。数年越しの念願かなって走ったのですが、期待に違わず、日本を代表する山岳グランフォンド、素晴らしいコースでした。トリッキーな悪路が無くシンプルに登って下る、過酷ながらも走りやすいコースだと思います。
コース上は温泉と避暑地がたくさんあります。ランドヌール部門で限界に挑戦するのも良いし、ツーリスト部門で温泉地や避暑地を巡りながらゆったり走るのも最高ではないでしょうか。