前回の(1)戦略・準備編に続き、2023PBPの装備・渡航についてまとめておきたいと思います。
主な装備・持ち物
バイク回り
- TREK Domane Disc Di2
- ホイール MAVIC 45mm
- フロント 50-34 楕円/リア 11-32
- DHバー ベース跳ね上げ式 + エクステンションバー
- サドル Sele Anatomica (革)
- タイヤGP5000 700x28C
- 泥除け SKS
DHバーが規制緩和されたので投入。手や体幹が楽になりかつ2-3km/hは巡航速度があがります。Di2のシフターをつけました。
楕円は相性が良いので引き続き使うことに。特に疲れた時に助けてくれます。
ビッグプーリーをやめました。抵抗は減るのですが剛性が低く、ブルベ中にスポークにあたって折れたり、チェーンがプーリーガイドに外れて削れる、という事件に合い、純正の安定性を取ることにしました。
重量はそれほど問題ではない
ところでDHバーなど装備をどうするかということと重量増の問題について。色々調べたことと実感値として、ブルベでの軽量化は大きな効果はありません。重量1kgの軽量化によるタイム削減効果は、100mの獲得標高で5~6秒程度です。仮に5秒として、PBPの獲得標高は12000mですから、5x120/60=10分。しかもPBPは登りと同じだけ下りがあり、下りでは重いほうが空気抵抗が少なく有利になります。一方DHバーは、同じパワーで平均時速で1-2km/hはアップします。仮に20km/h平均が21km/hになると、1200kmでは171分の短縮です。多少の軽量化よりは、空気抵抗の削減や休憩時間の節約のために装備を用意したほうが合理的です。
ウェアは登山・トレラン仕様
トレランや登山のレイヤリングを研究・実験し、以下で走ることにしました。
- スキンレイヤー ミレー ドライナミックメッシュ
- ベースレイヤー ノースフェイス エクスペディションドライドット
- ウェア ファイントラック スカイトレイル
- アームカバー・レッグカバー
- ノースフェイス ベントリックス インサレーション(携行)
- モンベル 腹巻き
- レインジャケット ノースフェイス フューチャーライト
- レインパンツ モンベル ゴアテックス
- シューズ SPD + カスタムインソール
スキンーベースーウェアの3層はいずれも吸汗発散素材で、汗を吸い上げ迅速に逃がします。ベントリックスは濡れても保温性能が維持でき乾燥も早い優れもの。レインウェアは防水と通気のバランスで選定しました。
この組み合わせで様々なブルべで実験し、ダウンヒルを含む5度~30度の気温に対応できることを確認しました。
補給食は日本から
PCで一気に食べると眠くなり体調を崩しやすいので、なるべくちょこちょこ食べる作戦にしました。
- 日本から好みのものを何種類か、2000kcal/400kmを目途に3セット(2セットはドロップバッグに)
- 水に溶かすパラチノースを100kmに1本
- パワープロダクション スポーツキャラメルを糖質+ミネラル用に
- 塩熱サプリ
- アミノバイタル・VESPA
- ビタミンC・B
その他の装備品・携行品
- Garmin 1040 Solar。40時間は持つので、ルデアックに充電器を送って往復2回の充電で済みました。Solarは計3時間半充電。夜間走行が半分くらいあったとはいえ、結局充電は必要になるので、あまり意味はないかもしれません。
- RN1500x2。充電が早く助かります。
- Di2は充電なしで最後まで走って目盛り3/5残ってました(セミシンクロ)。
渡航について
輪行用ハードケースを使用
以前はシーコンだったのですが、国内での輪行の際に、STIレバーが横から押されて油圧ケーブルが折れ、DNFしたことがありました。以来飛行機輪行はハードケースにしています。
飛行機便の選定に注意
ANAのサイトには「3辺合計203cmを超える大型荷物は事前確認。お預かりできないこともあります」となっています。
2023PBPは金・土曜日チェックイン→日曜スタート。羽田金曜日発ANAの直行便には40台以上の自転車が持ち込まれたそうです。
私はチェックインの際「載らなかったら自転車は後送。おそらくフランクフルト経由で、フランクフルト着が土曜日の夜。それでよければ預かります」と言われ、DNSが頭をよぎり青ざめました。
結果全部載ったのですが、荷物積み込みに時間がかかり出発は遅れました。日本人のPBP参加者は300人以上いましたので、もしさらに集中していたらどうなったか。
直行便を使うなら日程の余裕を持った方が望ましいと思います。
また私は日程の都合上帰路は直行が取れずAir Franceでフランクフルト→ANAだったのですが、Airfranceでは自転車預かり料を55ユーロも取られました。
飛行機輪行に関するよくある質問
- Di2のバッテリーはシマノのサイトの通り容量3.7WhでANA規定以内ですが、知らない係員もいるので文書を携行しておくと安心です。
- タイヤの空気圧は6Bar程度まで抜いておけば問題ありません。
- ルブ。国土交通省の「危険物の代表例」にも「液体物リスト」にも、自転車用オイルについての記述はありません(スプレーは不可)。以前ANAでWAKO's Extremeを預けられるかを調べてくれたことがありました。当初は持ち込み・預け共に×だったのですが、「楽器用オイルがOKなのになんでだめなのか?」と交渉、「メーカーのSDS(安全データシート)で、発火点60度以上であることが確認できれば持ち込める」ということになり、その場でWAKO’Sさんに電話、事なきを得ました。以来私はその基準に沿い、SDSも携行しています。
- 長さ15cm以上の工具類はうっかり手荷物に入れると没収もしくは(戻って)預けるよう指示されますので注意。
空港から現地へタクシーを使う場合はG7が便利
日本でいうGOです。日本でインストールして、自転車が載せられる車種を予約できます。CDG T1到着であれば(ANA等)、到着の90分後を目途にピックアップ場所を「Roissy CDG1」に指定すればOK。Departureレベルドア番号2番の前に来てくれます。飛行機が遅れた場合はアプリから変更することもできます。
料金はこちらにもありますが実測で5人のりのバンで以下でした。
- 空港→ランブイエ 175ユーロ
- ランブイエ→パリ中心 158ユーロ
- パリ中心→CDG 77ユーロ
自転車2台(ハードケース+OS-500)+スーツケース2つを荷物スペースに収めて2人で対面シートに座りました。シートにもう1台で3人はいけそうでした。ただ台数は限られるようなので、早めに予約した方がよさそうです。
注意点として、ランブイエ界隈の移動でタクシーを使うと、ピックアップまでの距離もメーター加算されるようで、ほんの3㎞ほどの移動で50ユーロもかかりました。ご注意を。
スタート準備
事前に予約した時間にランブイエ城近くでチェックインとなります。ただし入り口での予約時間チェックは無かったようです。
指定の駐輪場に自転車を入れます。受付はフランスとそれ以外にわかれており、それ以外の方には日本語含む各国の言葉を話すボランティアがいます。名前を伝えてIDを見せると、チップ入りのゼッケン他スタートに必要なもの一式を渡されます。友人はパスポート忘れてその旨伝えてエントリー書類を見せていましたがそれでもOKでした
そこで腕にゼッケン番号の入った輪を付け、PBPが終わるまで外さないように言われます。駐輪場から出るためには、自転車にゼッケン番号を付属のロックタイで付けた上で、出口の係員にゼッケン番号と腕輪の番号が一致していることを見せなければなりません。盗難防止でしょう。
周辺のカフェはどこも朝からランドヌールで大賑わい。マルシェを物色したり、友人と久々に話したり、走行計画話したり。楽しい時間です。
次回は(3)実走の記録です。