今回はPBP2023実走の記録と振り返りをまとめました。
走行ハイライト
スタート~ルデアック
スタート1時間前、お祭り騒ぎのランブイエのメインストリートの石畳を抜けて会場に着き、スタート組ごとのウェイティングエリアに向かいます。世界中のランドヌールで溢れています。
バイク・装備チェックは「ライトと尾灯つけてね」くらい。反射ベストはスタート時点では多くの人が着ておらず、EU規定のチェックもなしでした。
スタートラインに並び、スタート時間へのカウントダウンを待ちます。
1800スタート!しばらくは先導車について走ります。先頭集団は90時間組にも関わらず35km/h-40km/hとかなりのスピード。最初はついていきますが、自分にはちょっと速すぎなので、後ろからくるトレインに乗り換えながら進みます。
モルターニュ=オー=ペルシュは食事とトイレでさっと通過。トイレの行列で10分ほどロス。
最初のPCヴィレンヌは学校で、夜中にも関わらず生徒さんが食事を運んでくれ、また手作り装飾が迎えてくれます。
PC2フジェールは少し大きな街。手前のカルフールで補給します。チョコクロワッサンが普通においしい。アイスは6個入り、オレンジジュースが1Lしかないのはしょうがないです。
PC3ティンテニアックは、チェックとカフェが同じ建物、レストランが別棟にあります。ここのラザニアは割と美味しかった。
ここから60㎞ほどが、気温32度の登り基調アップダウンで森の中を走るきつかった区間です。さらにドライアイの症状も出てペースダウンしてしまいます。ドライアイ用目薬を入れたドロップバッグのあるルデアックまで何とかしのがねばなりません。ファーマシーを見つけてGoogle翻訳で目薬を買いますがあまり改善せず、片目ずつ閉じて走らざるをえません。
とはいえ計画よりも1時間半ほど早く、スタートから21:20、15:10にルデアック着。ここまでの平均速度は25.4km/h。ドロップバッグを受け取り、予約してある宿に向かいます。往復同じ宿なので、ドロップバッグ他いらないものはここに置いていきます。
ルデアック~ブレスト~ルデアック
ここで油断して時間を溶かしてしまいました。街中のカフェで食事しビールを飲み、宿についてシャワーを浴びて布団に入ったのが17:30。5時間半寝て2320リスタートで、計8時間も休憩してしまいました。よく休めたのはよかったのですが。
しかも翌日のリスタートの際、補給食の入ったトップチューブバッグを忘れるというミス。サン=ニコラ=デュ=ペルムまで50kmは補給できず、冷や冷やでした。
カレ=プルゲールのPCを過ぎ、550㎞あたりのコース最高地点の峠を越えると、ブレスト手前まで30kmの下り。570kmのシジュンという街は夜中にも関わらずカフェやブーランジェリーが空いており、ここでカフェオレとクロワッサンで一休み。こんな感じの深夜営業のカフェやブーランジェリーは思ったよりも至る所にありました。
徐々に夜が明けブレストに近づいていくと、このコース唯一初めての海から海鳥の声が迎えてくれます。ブレストには38:20で着。
PCのレストランは混んでいたのであきらめ、街を抜けたところのSuper Uで補給。ここからプレバンのシークレットを経てカレの先までの130kmは、獲得標高1706mで標高差300m登り基調のアップダウン、気温も32度まで上がり、コース全体で一番厳しかった区間です。
加えてFDから異音がし始めました。Di2の調整をしましたが治りません。よく見るとチェーンガイドプレートがアウターチェーンリングと接触しています。FDの取り付けを修正して走り始めても、またしばらくすると同じ異音が。
どうやらWickwerksのチェーンキャッチャーの土台、これがFDと一緒にフレームに固定しているのですが、そこが弱く、フロント変速するとDi2のパワーでずれるということが判明。装備は全部ブルべでテストしていたのですが、このチェーンキャッチャーだけは未テストだったのです。後悔。1時間ほどロスしました。しょうがないのでここからはフロント固定で走ることにします。
コースの厳しさとメカトラで、ルデアック着は予定より1時間半遅れの20:17、スタートから50:17。ルデアック~ブレスト往復は22.4km/hでした。PCで食事をとって宿に着いたのが21:30。FDの調整を試みていたらベッドに入ったのは22:30。3時間半仮眠して、2:30amに最終日をスタートしました。
ルデアック~ゴール
最終日は天気も良く、長いウィニングランモードのつもりでした。
ヴィレンヌでは町中の人がPC周辺に集まり大歓迎してくれます。
ただやはりPBPはそんなに甘くなく、ヴィレンヌからの残り200kmは苦労しました。
まず日陰の無い田園地帯のアップダウンを西日の中走っているうちに、熱中症気味になってしまいました。私設エイドの水は冷えていないため、給水してもかぶっても体温が下がりません。日陰で寝ていても、自分の体温が下がっていないことがわかるレベル。
幸運なことにスーパーを見つけ、巨大バッグの氷とアイスなどを購入。しばらく休憩して股関節や頸動脈から身体を冷やし、なんとか立ち直りました。店の外で氷抱えて休んでいると、通りがかりの人が水をくれたり、声をかけてくれたり。元気出ますね。
そしてモルターニュ=オー=ペルシュからドルーの夜間走行は、退屈さと睡魔との闘いでした。なだらかな下り基調で変化がなく、街や応援もなく、きつかった。
最後のドルーからゴールまでは、前回は夜明けゴールになるようドルーで仮眠したのですが、今回はそのまま走り切ることにしました。Z組(私より12時間後のスタート!)から追いついてきたドイツ人とローテーションを回して、最後のダッシュ。83時間ちょうどでゴールしました。
走行データ
移動時間 52:22
移動速度 23.4km/h
PC停止時間 24:11(含む宿12時間)
PC以外停止 6:27
ルデアック除くPCの停止時間平均 37:23
分析・ふりかえり
良かったこと・うまくいったこと
二度目ということもあり、概ね計画通り・想定通りに進んだブルベでした。
- ルデアックで2回しっかり宿で寝られたのはよかったです。寝不足できついという時間は最小でした。
- DHバーは非常に有効でした。トレインに乗っているのとDHバーで単独で走るので、体感同じくらいの抵抗削減を感じました。
- 補給はPCのレストランをメインにしました。味はそこそこ、塩も置かれましたし、何より栄養バランスがとりやすく、時間も言うほどかからないので。カフェに行列があるときでもレストランはほぼ並ばずいけました。
- 日本のブルべと比較してコンビニが無く難しいと言われますが、個人的にはあまり変わらないかな?と思います。日本より楽だと感じたところは下記:
反省・改善点
一言でいえば「あと一息タイムは伸ばせたかな」でした。
- もう少し休憩を効率的に使えば80時間は切れたかな?
- 事前にテストしていないパーツを使ったためのメカトラ・タイムロス
- 前回・今回共「ルデアックまで集団に乗って走り、時間を稼いで寝る」という作戦ですが、これだとルデアック以後自分のペースのトレインを見つけるのが難しくなる。初日もう少し距離を稼いだほうがよかったかも。
- 90時間部門のスタートでタイム80時間前後だと、走行の半分くらいが夜間走行になる上ゴールが深夜になってしまうので最後のモチベーションが難しい。前回のドルーからの夜明けのウィニングランは最高だったのですが。84時間部門がいいのかもしれませんが、速い人に置いていかれると最後尾になるリスクがあるので食事とかが心配。このあたりは自分はPBPで何を目標にするか、ですね。
- 2019は気温3度~27度。今回は12度~32度。内陸中心で気温の差は激しいので、暑さ寒さ両方の対処が必要です。冷たいスポーツドリンクは手に入らないので溶かすタブレットとサーモスは必須(氷はスーパーにあります)。
最後に
ブルベが趣味で良かった、と思える素晴らしいお祭りでした。何よりもフランスの自転車文化の深さ・自転車愛に触れ、また世界中で同じ趣味を楽しむランドヌールと交流できたことは、最高でした。日本でもこういった、世界中からサイクリスト・ランドヌールが集まり、日本を楽しんでくれるようなイベントがいつかできないか、とも思います。
4年後もその先も、また走ろうと思います。どこかのブルべでTREK Domane乗りを見かけたらぜひ声をかけてください。