らんどぬ

ロングライドと自転車についてのブログです。山・旅・グルメ・温泉のあるウルトラロングが好きです。2017年から毎年Super Randonneur、2019&2023年PBP、2021年R10000、SR600x11、RM2700日本縦断、The Peaksなど。

ブルベという自転車競技の紹介

こんにちは。このブログでは主に私がのめり込んでいる「ブルベ」という自転車ロングライド競技についてを中心に書いていこうと思います。

 

ブルベとは超長距離を制限時間内に自転車で走るフランス発祥の競技です。「ブルべ(Brevets)」はフランス語で「認定」を意味し、ブルベ競技者は「ランドヌール(Randonneur)」=「旅人」と呼ばれます。名前の通り、ブルベはスポーツと旅の要素を併せ持っています。

 

距離は最も短いもので200km、これを13時間半で走ります。さらに300、400、600、1000kmなどがあり、距離ごとに制限時間が決まっています。例えば1000kmは75時間で走ります。

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2019年7月実施、札幌発着北海道1000kmのコース


コースは公道です。日本各地の主催団体国際的なブルベの主催団体の基準に沿ってコースを設計します。2019には年間350回のブルベが日本中で開催されました。コースはバラエティに富んでおり、平坦コース、山岳コース、絶景や名跡をめぐるもの、難易度も楽しみどころも様々です。

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2020年10月金沢発着300kmのスタート地点、金沢駅。ここから飛騨高山まで往復

ブルベでは走力と同等かそれ以上にマネジメントが重要です。サイクルイベントのようなエイドステーションは提供されません。補給も眠る時間も自分で管理します。休憩も眠る時間も競技時間に含まれますので、早く走れれば寝れますし遅れていれば夜を徹して走ることもあります。店が全く無い山の中を数十キロ走ることも、真っ暗な中、人家も照明もない周りは野生動物の声しかしない道を一人で走ることもあります。適切な装備、天候の急変への対応など、様々な要素を考えて完走を目指すのが、また一つの楽しさです。

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熊の出る山中も走ります。2019年の紀伊山地600km

鉄人ばかりが走っているわけではなく、年齢的には40〜50歳くらいが中心です。様々な難易度のコースがあり制限時間には余裕があるので、平坦なコースであればある程度の走力があれば完走は可能です。一方アップダウンがきつく、出走者の半分も完走できないコースもあります。

 

完走すると、世界の主催団体から距離に応じてメダルがもらえます。制限時間内に完走すれば認定され、タイムによる順位はつきません。

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ブルベの完走メダル。左上から200,300,400,600,1000km

また完走距離に応じた表彰があります。多くのランドヌールがまず目標にするのが、1年で200/300/400/600kmの4本を完走する「Super Randonneur(シューペル・ランドヌール)」の称号。特別なメダルをもらえます。

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Super Randonneurメダル

より獲得難易度の高い表彰として、4年間で5000km、6年間で10000kmを完走しかついくつかの条件を満たした人には、「Randonneur 5000」「Randonneur 10000」の表彰が贈られます。Randonneur 10000は2019年時点で世界で 404人・日本で84人、Randonneur 5000は世界で2718人、日本で161人しかいません。 

そして多くのランドヌールが目標にするのが、4年に一度フランスで開かれるブルベの世界大会、PBPこと「Paris-Brest-Paris(パリ・ブレスト・パリ)」です。世界中から、各地の国内選考を通過した数千人のランドヌールが集まり、その名の通りパリーブレスト往復1200kmを90時間で完走することを目指します。100年以上前から開催されている世界最古の自転車イベントです。

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1901年のパリ・ブレスト・パリのポスター広告

PBPの出場には、日本国内のブルベでSuper Randonneurを獲得することが必須に加えて、長い距離の完走実績が優先されるなど高いバーがあります。それでも日本からの参加者の完走率は60%前後。優しくは無い大会ですが、自転車が世界で最も盛んな国フランスの風景と沿道の応援は、生涯記憶に残ります。驚くことに60代の完走者もいます。

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自転車王国フランスで開催されるPBPの沿道は温かい応援が至るところに

ブルベはロングライドが好きな人なら誰でも挑戦でき、旅と競技の両面を楽しめ、体力と知力の両方が求められ、そして世界を目指す気分も味わえる自転車競技です。その魅力に共感頂けるよう書いていきたいと思います。